ラジオ体操の音楽が流れると、自然と身体が動き出す。そんな経験はありませんか?
ところが、久しぶりにやってみると「あれ、この次はどうだったかな?」と動きを忘れていたり、思ったほど身体が動かなかったりすることも。
子どもの頃から親しんできたラジオ体操ですが、年齢を重ねた今だからこそ、改めて見直してみたい身近な運動のひとつです。
特別な道具も必要なく、短時間で全身を動かせるラジオ体操。今回は、その特徴や健康づくりへの生かし方、体力や身体の状態に合わせて無理なく続けるコツをご紹介します。

ラジオ体操は一年を通して続けやすい運動です
音楽が流れると身体が自然に動き出す。ラジオ体操には、年代を問わず多くの方が動きを知っている親しみやすさがあります。一方、久しぶりに行うと、腕の動きが小さくなったり、音楽についていくことだけに意識が向いたりしがちです。知っている体操だからこそ、一つひとつの動きを丁寧に行うことが大切です。
運動不足を感じていても、「何から始めればよいかわからない」「まとまった時間が取れない」という方は少なくありません。ラジオ体操は、特別な器具や広い場所を必要とせず、数分から身体を動かせます。運動不足を一度に解消する万能な方法ではありませんが、年間を通して身体を動かすきっかけにしやすい体操です。
全身を使う「多要素な運動」としての特徴
ラジオ体操には、腕や脚を動かすだけでなく、伸ばす、曲げる、ひねる、反る、跳ぶといったさまざまな動きが含まれています。普段の生活では動かす機会が少なくなりやすい肩まわりや体側、体幹にも意識を向けやすいことが特徴です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、ラジオ体操は、筋力・バランス・柔軟性などに関わる多様な動きを含む「多要素な運動」の例として挙げられています。特定の部位だけを鍛えるものではなく、全身をまんべんなく動かしやすい運動の一つと捉えるとよいでしょう。
ラジオ体操第1と第2は運動強度が異なります
厚生労働省が公開する運動のメッツ表では、ラジオ体操第1は3.5メッツ、第2は4.5メッツの運動として示されています。メッツとは、安静に座っている状態を1としたとき、その何倍のエネルギーを使う活動かを表す単位です。第2には腕と脚を同時に動かす動作や跳ぶ動作が多く、第1より運動強度が高くなります。
久しぶりに運動する方は、第1から始めるか、座って行う方法を選びましょう。第2まで続けて行うことにこだわる必要はありません。その日の体調や体力に合わせて、動く範囲や回数を調整してください。
なお、ラジオ体操だけですべての身体活動が足りるわけではありません。歩くことや家事なども含め、今より少しでも身体を動かす時間を増やす中で、取り入れやすい選択肢の一つと考えましょう。

毎日の生活に取り入れる3つの利点
1.座りっぱなしの時間を区切るきっかけになる
デスクワークやテレビ、スマートフォンなどで同じ姿勢が続いたとき、ラジオ体操を始めることが、いったん立ち上がって身体を動かす合図になります。厚生労働省は、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意し、今より少しでも多く身体を動かすことを勧めています。仕事や家事の区切りに第1を1回行うなど、自分なりの合図を決めておくと取り入れやすくなります。
2.普段は少ない動きを取り入れられる
腕を大きく回す、身体を横に曲げる、上半身をひねるといった動きは、いつもの生活だけでは小さくなりがちです。無理のない範囲で全身を動かすことで、「右より左が動かしにくい」「今日は腰に張りを感じる」など、その日の身体の状態に気づくきっかけにもなります。痛みを我慢して動かすのではなく、気づいた変化に応じて動きを小さくすることが大切です。
3.自分の生活に合わせて続けやすい
道具の準備がほとんどなく、短時間で終えられることは、続けやすさにつながります。「今日は第1だけ」「朝は難しいので昼休みに」「立って行うのが不安な日は座って行う」など、自分の生活や体調に合わせて調整できます。家族や職場、地域など、一緒に行う人や場所を見つけることも継続の助けになります。
同じ体操でも、動かし方で変わります
ラジオ体操は、音楽どおりに最後まで行うことだけが目的ではありません。見本と同じ大きさで動くことよりも、自分の身体の状態を確かめながら、できる範囲で丁寧に動くことを優先しましょう。
始める前に、動ける場所を確保する
両腕を横や上に伸ばしても家具や人にぶつからないか、床が滑りやすくないかを確認します。裸足、靴下、室内履きのどれが安全かは床材によって異なります。屋外では、地面の傾きや段差にも注意してください。
勢いや反動だけに任せない
腕を回すときは肩に力を入れすぎず、動かせる範囲で大きな円を描くようにします。身体を反らす、曲げる、ひねる動きでは、反動だけで動く範囲を広げようとせず、身体全体の伸びを感じられる範囲で行いましょう。左右差があっても、無理に同じ角度まで動かす必要はありません。
息を止めず、痛みのない範囲で行う
動作に集中すると呼吸を止めてしまうことがあります。自然な呼吸を続け、音楽に遅れても焦らないようにしましょう。気持ちよく伸びていると感じる程度を目安にし、鋭い痛みや強い違和感がある動きは中止します。
· 手足をぶつけない広さを確保し、滑りにくい場所で行う
· 音楽に遅れても焦らず、安全に動ける速さと範囲を優先する
· 反動だけに任せず、身体の伸びやひねりを感じながら動く
· 息を止めず、自然な呼吸を続ける
膝や腰に不安がある方は、動きを調整しましょう
痛みや不安があるのに、見本と同じ大きさで動こうとする必要はありません。両脚で跳ぶ動作を、かかとの上げ下げやその場での足踏みに変える、膝を曲げる深さを浅くする、身体を反らす角度を小さくするなど、負担の少ない動きに調整しましょう。
立った姿勢が不安定な方は、椅子に座って行うラジオ体操も選べます。かんぽ生命の公式サイトでは、ラジオ体操第1・第2の立位と座位の動きが図解されています。立って行う場合も、必要に応じて壁や安定した椅子の近くで行い、転倒しないように注意してください。

次のようなときは無理をしないでください
発熱や強いだるさがある日、睡眠不足や二日酔いなどで体調がすぐれない日は休みましょう。体操中に胸の痛み、動悸、冷や汗、めまいやふらつき、普段とは違う強い疲れ、関節や筋肉の強い痛みなどが現れた場合は、すぐに中止してください。症状が続く場合や強い場合は、医療機関へ相談してください。
持病がある方、治療中の方、医師から運動を制限されている方、転倒したことがある方は、始める前に医師などの専門家へ相談しましょう。服用している薬と運動時の体調変化が気になる場合は、かかりつけの医師や薬剤師に確認してください。
続けるために「毎朝」にこだわりすぎない
ラジオ体操には朝のイメージがありますが、朝だけの運動ではありません。昼休みや仕事の合間、家事の区切りなど、自分が続けやすい時間に行ってかまいません。習慣にしたいときは、すでにある行動と組み合わせると始めやすくなります。できなかった日を失敗と考えず、次にできる日から再開することも大切です。
· 朝食後や歯みがきの後に行う
· 在宅勤務の休憩や家事の区切りに行う
· 昼休みや入浴前など、自分が動きやすい時間を決める
· カレンダーに印を付け、できた日を見えるようにする
· 家族や地域の人と一緒に行う
· 毎日できなくても、できる日から再開する
最初の目標は「毎日、第1と第2を完璧に行う」ではなく、「週に数回、第1だけ」「仕事の区切りに一部だけ」でもかまいません。慣れてきたら回数や動きの大きさを少しずつ増やしましょう。厚生労働省も、健康状態や体力などの個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから始めることを勧めています。
まとめ|ラジオ体操を「少し動く」入口に
· ラジオ体操は、伸ばす・曲げる・ひねる・跳ぶなど多様な動きを含む運動
· 第1は3.5メッツ、第2は4.5メッツで、第2の方が運動強度は高い
· 座りっぱなしを中断し、全身を動かすきっかけとして取り入れやすい
· 音楽に合わせることより、安全な範囲で丁寧に動くことを優先する
· 痛みや体力に応じて、跳ばない動きや座位の体操へ調整する
· 朝や季節に限定せず、続けやすい時間と方法を選ぶ
身体を動かす習慣についても薬局へご相談ください
運動は、頑張りすぎるよりも、その日の体調や身体の状態に合わせて続けることが大切です。治療中の病気がある方や、服用している薬と運動との関係が気になる方は、医師や薬剤師へご相談ください。
ラジオ体操を、運動不足を一度に解決する特別な方法としてではなく、「今日、少し身体を動かす」ための身近な入口として取り入れてみてはいかがでしょうか。お薬や体調について気になることがあるときは、お近くの健栄薬局へお気軽にご相談ください。
<参考文献>
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
(株)健栄 本社
薬剤師 大久保