歯周病とはどんな病気か

歯周病は“口の病気”だけじゃない?全身との関係と正しい歯磨きの仕方、歯磨き粉の選び方

みずき薬局 星久喜店 袖山
目次

「歯周病は歯や歯茎だけの問題」と思っていませんか。実は、歯周病は糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎など、全身の健康維持と深く関わっていることがわかってきています。

今回は、健栄の薬局「みずき薬局星久喜店」の薬剤師が、歯周病と全身の関係、正しい歯磨きの仕方、歯磨き粉の選び方まで、日常生活で意識したいポイントをわかりやすく解説します。

歯周病とはどんな病気か

歯周病とはどんな病気か

歯周病とは、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)に細菌が繁殖し、歯茎や歯を支える骨(歯槽骨)に炎症が起こる病気です。初期は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行していることが多いため「沈黙の病気」とも呼ばれています。

歯周病の主なサインとして以下のことが挙げられます。

  • 歯茎が赤く腫れている
  • 歯磨きをすると出血する
  • 口臭が気になる
  • 歯茎が下がって歯が長く見える
  • 歯がぐらつく感覚がある

これらのサインに心当たりがある方は、歯周病が関係している場合があります。放置すると、歯を支える歯茎や骨などの組織が弱くなり、歯がぐらついたり、歯を保つことが難しくなったりする場合があります。早めのセルフケアと受診を意識しましょう。

歯周病が全身に悪影響を及ぼすメカニズム

歯周病が単なるお口の病気にとどまらない最大の理由は、歯周ポケットの中で異常に増殖した歯周病原細菌や、炎症によって生じた「炎症性物質(サイトカイン)」が、歯茎の微細な血管を通じて全身の血液中に流れ込んでしまうことにあります。

口の中には700種類以上の細菌が存在すると言われています。
歯周病が進行すると、歯茎に慢性的な炎症が起こり、血管がもろくなります。その結果、細菌やその毒素(LPSなどの内毒素)が容易に血管内へ侵入し、全身へ影響を及ぼすことがあります。
歯周病による慢性的な炎症は、糖尿病や動脈硬化、誤嚥性肺炎などとの関係も指摘されており、口腔ケアは全身の健康管理の一環として考えることが大切です。

歯周病と糖尿病との関係

歯周病と糖尿病は「相互に悪化させ合う関係」にあることが知られています。

高血糖状態が続くと、体内の免疫機能が低下して歯周病菌に対抗できなくなり、歯周病が進行しやすくなります。一方で、歯周病によって歯茎から血液中に流れ込んだ炎症性物質は、筋肉や脂肪細胞におけるインスリンの働きを阻害する「インスリン抵抗性」を引き起こします。

その結果、血糖コントロールが乱れ、糖尿病の悪化につながるのです。

歯周病と心疾患、動脈硬化との関係

血液中に侵入した歯周病菌や炎症性物質は、全身の血管壁にダメージを与え、コレステロールなどが血管に沈着して硬くなる「動脈硬化」を進行させます。

動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中のリスク要因のひとつであるため、歯周病の予防や適切な口腔ケアは、心疾患や脳血管疾患の予防にもつながると考えられています。

歯周病と誤嚥性肺炎との関係

口の中の細菌が唾液とともに気管や肺に入り込むことで起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は、特に高齢者にとって重大なリスクです。

口の中が不衛生で歯周病菌などの雑菌が大量に増殖していると、誤嚥したときに肺炎を起こすリスクが高まります。日常的な口腔ケアを行い、お口の中の細菌数を低く抑えることは、高齢者の肺炎発症のリスクを下げ、健康寿命の延伸や命を守ることにつながる有効な対策となります。

歯周病が気になる人のための正しい歯磨きの仕方

歯周病が気になる人のための正しい歯磨きの仕方

歯周病を予防し、進行を止めるためのセルフケアの基本は、毎日の歯磨きによって歯茎の境目に蓄積するプラーク(歯垢)をていねいに取り除くことです。毎日なんとなく大きくゴシゴシと磨いているだけでは、毛先が汚れに届かないばかりか、歯茎を傷つけたり、歯茎が下がる原因になったりすることがあります。

歯茎を優しくマッサージする「バス法」の基本手順

歯周病ケアに最も適したブラッシング方法として推奨されているのが「バス法」です。以下の手順を意識して実践しましょう。

  • 歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当てる
  • 毛先が歯周ポケットに軽く入るよう意識しながら、小刻みに(1〜2mm程度)前後に動かす
  • 力を入れすぎず、歯茎を傷めないようにやさしく磨く
  • 1か所につき10〜20回程度を目安にする

力任せに磨くことは歯茎を傷つけるだけでなく、歯の表面を削る原因にもなります。「やさしく、ていねいに」を意識することが大切です。

歯と歯の間は歯ブラシだけでは磨ききれないため、デンタルフロスや歯間ブラシを合わせて使うことが歯周病予防に効果的です。

また、磨くタイミングは毎食後が理想的ですが、特に睡眠中は唾液の分泌が低下して細菌が爆発的に繁殖するため、就寝前の丁寧な歯磨きが最も重要となります。

歯周病を防ぐための効果的な歯磨き粉の選び方

歯周病を防ぐための効果的な歯磨き粉の選び方

歯磨き剤には歯周病予防、むし歯予防、ホワイトニングなど色々な種類があります。歯周病が気になる方は、歯周病予防に有効な成分が配合されたものを選ぶことが重要です。

歯周病向け歯磨き剤成分①:フッ化物(フッ素)

フッ素はむし歯予防として広く知られています。フッ素は、歯の再石灰化を促進し、歯質を強くすることでむし歯の発生や進行を防ぐ成分です。歯磨き剤のフッ素濃度は現在1,450ppmが主流となっており、高いむし歯予防効果が期待できます。

歯周病向け歯磨き剤成分②:塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)

歯周病の原因菌に対して抗菌作用をもつ成分です。歯周病予防を目的とした薬用歯磨き剤に配合されていることが多く、歯周ポケット内の菌の繁殖を抑えることが期待できます。

歯周病向け歯磨き剤成分③:グリチルリチン酸

歯茎の炎症を和らげる抗炎症成分として、多くの歯周病ケア用歯磨き剤に配合されています。

歯周病向け歯磨き剤成分④:塩化セチルピリジニウム(CPC)

口腔内の殺菌、抗菌作用をもつ成分で、歯周病の原因菌や口臭の原因菌に対して効果が期待できます。

薬局で相談できる歯周病ケアや正しい健康管理

歯周病が気になるときは、まず毎日の歯磨きや口腔ケアを見直すことが大切です。

一方で、歯茎からの出血が長引くときや、強い痛みがある、歯がぐらつく、口臭が気になるといった症状がある場合は、歯科医院を受診し、状態の確認が必要です。

糖尿病などの生活習慣病がある方では、口腔ケアも日常の健康管理の一部として考えたいポイントです。お薬を服用している方や、体調管理について気になることがある方は、健栄の薬局でもご相談いただけます。 

「歯科を受診した方がよいのか迷う」「今の症状をどう考えればよいか不安」「持病や服用中の薬との関係が気になる」など、口の中の不調をきっかけに健康全体を見直したいときは、お近くの薬剤師にお声がけください。

口のケアが、全身の健康を守る

歯周病は「歯だけの問題」ではなく、糖尿病、心疾患、誤嚥性肺炎など全身の健康とも関わりがあることが知られています。毎日の歯磨きをていねいに行い、自分の歯茎の状態に合った歯磨き剤を選ぶことが、口と体の健康を長く守ることにつながります。

正しい歯磨きの仕方と歯磨き剤選びを今日から意識して、歯周病予防を日常の習慣にしていきましょう。

<外部サイト参照リスト>

口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連(厚生労働省)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-006

歯周病(厚生労働省)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth-summaries/h-03

歯周病の予防と治療(厚生労働省)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-006

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