「気づいたら子どもがずっとスマホを見ている」という場面、増えていませんか。スマホやタブレットは便利な一方で、長時間・近距離での使用は、目の疲れや、視力低下、ストレートネックなど、成長期の子どもの体にさまざまな影響を与える場合があります。
本記事では、健栄の薬局「オレンジ薬局」の薬剤師が、スマホが子どもの体に与える影響と、家庭でできる対策をわかりやすく解説します。
子どものスマホ利用状況を把握していますか?

スマートフォンやタブレットは、今や子どもにとっても身近なものとなっています。動画視聴やゲーム、学習アプリなど、使い道はさまざまです。
一方で、長時間のスマホ使用による体への影響も気になるところです。特に成長期の子どもは、骨や筋肉、目がまだ発達の途中にあるため、大人以上に使い方への配慮が必要です。
「うちの子は大丈夫」と思っていても、近い距離で画面を見続けたり、寝る直前までスマホを使ったりする習慣が続くと、少しずつ体への負担が積み重なっていることがあります。まずは、どのような影響が起こりうるのかを正しく知ることが大切です。
スマホが子どもの体に与える主な影響
目の疲れ近視への影響
スマホが子どもの体に与える影響として、特に気をつけたいのが目への負担です。
スマホの画面は顔に近づけてみることが多く、目のピントを合わせる筋肉(毛様体筋)が長時間緊張した状態になります。この状態が続くと、目が疲れやすくなるだけでなく、近視に関係したりすると考えられています。
文部科学省の調査(令和5年度)によると、裸眼視力1.0未満の割合は小学生で約3割、中学生で約6割弱、高校生で約7割と過去最高水準にあります 。スマホを20cm未満の至近距離で見続ける「近業」が、近視を進行させる大きな要因と指摘されています 。
成長期は眼球自体が発達する時期でもあるため、この時期に近視が進むと、将来的な視力への影響が大きくなる可能性があります。「最近、黒板が見えにくそう」「目を細めて画面を見ている」といったサインには注意が必要です。
スマホの子どもへの影響①:ストレートネック、姿勢の悪化
スマホを見るとき、多くの人が首を前に倒した姿勢になります。この姿勢が習慣化すると、本来緩やかなカーブを描いているはずの頚椎(けいつい)がまっすぐになってしまうストレートネックを引き起こすことがあります。
成長期の子どもは骨格がまだ柔軟なため、不良姿勢が習慣化すると骨の形成にも影響が出る可能性があります。ストレートネックになると、肩こり、頭痛、手のしびれなど、さまざまな不調につながることがあるため、早めの対策が重要です。
スマホの子どもへの影響②:睡眠への影響
スマホやタブレットの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させる働きがあると言われています。就寝前にスマホを長時間使用すると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。
成長期の子どもにとって、睡眠は体の成長や脳の発達に深く関わる大切な時間です。寝る直前まで動画を見たり、ゲームをしたりする習慣が続くと、睡眠時間が短くなったり、日中の集中力に影響したりすることもあります。
スマホの子どもへの影響③:運動不足、体力の低下
スマホやゲームに費やす時間が増えると、その分、体を動かす時間が減ります。成長期に運動量が不足すると、筋力や体力の発達に影響が出るほか、肥満のリスクも高まります。
また、外遊びや運動の機会が減ることは、気分転換や生活リズム面でも影響します。スマホを使う時間だけでなく、体を動かす時間とのバランスも意識したいところです。
子どものスマホ使用、家庭でどう対策する?

スマホそのものを完全に禁止するのは現実的ではありません。大切なのは、使い方のルールと習慣を整えることです。
スマホ使用のポイント①:使用時間のルールを決める
1日の使用時間の上限を家族で話し合い、決めておくことが基本です。学校がある日と休日で分けてルールを設定することも良い方法です。
子どもが自分でルールを守れるよう、一方的に制限するのではなく、なぜ必要なのかを一緒に考える姿勢が長続きのコツです。
スマホ使用のポイント②:画面との距離・姿勢を意識する
スマホやタブレットを見るときは、目から30cm以上離して見ることを習慣にしましょう。また、寝転んだ姿勢やうつ伏せでの使用は首や背中への負担がかかりやすいため、できるだけ避けるようにします。
テーブルにスマホを置いて使うなど、姿勢が崩れにくい環境を整える工夫が助けになります。
スマホ使用のポイント③:「20-20-20ルール」を取り入れる
目の疲れを和らげる方法として、「20-20-20ルール」が紹介されることがあります。これは、20分間画面を見たら、20フィート(約6m)先を、20秒間見るという考え方です。
日本眼科医会の資料でも、長時間続けて画面を見ないことや、遠くを見て目を休ませることが勧められています。
目のピントを合わせる筋肉を意識的にほぐすことで、目の疲れや視力低下の予防につながると言われています。子どもでも取り入れやすい方法ですので、習慣化してみましょう。
スマホ使用のポイント④:就寝1時間前はスマホを置く
睡眠のリズムを守るために、就寝前はスマホやタブレットから離れる時間を作りましょう。
たとえば、就寝の1時間前にはスマホやタブレットの使用をやめるなどのルールを作ってみましょう。寝室にスマホを持ち込まないことも有効な方法のひとつです。
また、充電場所をリビングに決めておくなど、環境から整えることで自然にルールが守りやすくなります。
スマホ使用のポイント⑤:屋外で過ごす時間を意識的につくる
屋外で過ごす時間は、子どもの目の健康を考えるうえでも大切です。近視の発症には、近くを見る作業の増加や屋外活動の減少が関係すると考えられており、屋外活動の確保が勧められています。
公園で遊ぶ、散歩をする、外で体を動かすなど、短い時間でも屋外で過ごす機会を意識的につくっていきましょう。
目や体の不調、薬局でも相談できます
「子どもが最近目を細めて見ている」「肩こりや頭痛を訴えることが増えた」「寝つきが悪そう」というような変化に気づいたとき、まずは症状の程度や続いている期間を確認しましょう。
見えにくさが続く場合や、頭痛・しびれ・強い痛みがある場合は、医療機関への受診が必要です。
お子さんの目の疲れや市販薬の選び方、受診の目安などで迷うことがありましたら、健栄の薬局へご相談ください。
お子さんの年齢や症状、使用中のお薬などによって、選べる市販薬や注意点は変わります。自己判断で使う前に、薬剤師へ確認しておくと安心です。
デジタルとの付き合い方は「家族で考える」時代

スマホやタブレットは、上手に活用すれば学びや生活の助けになる便利なツールです。しかし、使い方を誤ると子どもの体や生活リズムに負担がかかることがあります。
大切なのは、スマホを禁止することではなく、子どもの体を守りながら上手に付き合うことです。
使用時間・画面との距離・休憩・寝る前のルール・屋外で過ごす時間など、できることから少しずつ整えていきましょう。
<外部サイト参照リスト>
令和5年度学校保健統計調査(視力の統計など)(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01449.html
保護者の方に知っていただきたいこどもの近視予防対策(健康日本21アクション支援システム Webサイト)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/sensory-organ/s-02-001
ギガっこ デジたん!大百科(端末利用ルール)(公益社団法人 日本眼科医会)
https://www.gankaikai.or.jp/info/giga_manual.pdf
目をまもるためにはどうすればいいの?(文部科学省・埼玉県教育委員会)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/251305/kodomonomenokenkouwomaorutamenokeihatusiryou.pdf
健康サポート薬局とは(公益社団法人 日本薬剤師会)
https://www.nichiyaku.or.jp/kakaritsuke/support_pharmacy.html
オレンジ薬局
薬剤師
深尾