60代を迎え、体力の低下や疲れやすさを感じ始めている方も多いのではないでしょうか。
これからさらに年齢を重ねるうえで、意識したいのが「フレイル」です。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にあたる状態を指します。心身の活力が低下することで、日常生活に支障が出たり、QOL(生活の質)の低下につながったりすることがあります。早めに気づき、生活習慣を見直すことが大切です。
今回は、これからの老後生活を健やかに自分らしく過ごすために、今から意識したいフレイル予防と、毎日の食卓に取り入れたい食材について、健栄の薬局「みなみ薬局」の薬剤師がご紹介します。
フレイルとは?フレイルの基準

「フレイル」は英語の「Frailty(虚弱)」を語源とした言葉で、「健康な状態」と「要介護状態」の中間の段階を指します。
加齢とともに筋力や心身の活力が低下した状態ですが、最大の特徴は早めに気づいて「適切な対策をすれば、元の健常な状態に近づける可能性がある」という点です。
日本版フレイル基準(J-CHS基準)では、以下の5項目のうち3項目以上当てはまるとフレイル、1〜2項目ならフレイルの前段階(プレフレイル)と判定されます。
①体重減少: 意図しないのに半年で2kg以上の体重減少がある
②筋力低下: 握力が男性28kg未満、女性18kg未満
③疲労感: ここ2週間、わけもなく疲れた感じがする
④歩行速度: 通常歩行速度が秒速1.0m未満
※目安として、横断歩道を青信号のうちに渡りきるのが難しくなったと感じる場合も注意が必要です。
⑤身体活動: 軽い運動や体操を週に1回もしていない
「年だから仕方ない」と見過ごしがちですが、この段階で気づき、生活習慣を見直すことが、その後の人生の質を大きく左右します。
フレイルによる影響・リスク

フレイルの状態をそのまま放置してしまうと、身体的・精神的な機能が少しずつ低下する「フレイル・サイクル」に陥るリスクが高まります。
身体面では、筋肉量が減少する「サルコペニア」が進み、転倒や骨折のリスクが高まることがあります。また、体力が落ちることで、体調を崩しやすくなる場合もあります。
精神・社会面への影響も無視できません。外出が億劫になることで社会的な繋がりが薄れ、認知機能の低下や気分の落ち込みを招くこともあります。
こうした影響により食欲や筋力がさらに低下し、フレイルがさらに悪化する悪循環となるのがフレイル・サイクルです。
この段階で早めに気づき、生活習慣を見直すことが、その後の生活の質を保つうえで大切です。
予防の3本柱は「運動」「栄養」「人との交流」

フレイル予防の3本柱といわれているのが、「運動」「栄養」「人との交流」です。
この3つはお互いに影響し合っているため、どれかひとつだけに力を入れればよいというわけではありません。3つをバランス良く組み合わせて予防に取り組むことが大切です。
運動: 筋肉を維持するためには、ウォーキングなどの有酸素運動に加え、スクワットなどの筋力トレーニングを取り入れることも役立ちます。
栄養: 筋肉や骨の材料となる栄養素を、毎日の食事からしっかり摂取することが大切です。特に60代以降は食事量が減ったり、あっさりした食事に偏ったりしやすいため、意識して多様な食品を摂ることがすすめられます。
人との交流: 趣味の集まりや友人との食事など、社会との接点を持つことは、心の健康を保つだけでなく、外出しようという意欲(身体活動)にも繋がります。
フレイル予防では、運動・栄養・社会参加のバランスが大切とされています。
フレイル予防に取り入れたい食材

フレイルにならない・悪化させないためにも、低栄養対策は必須。
栄養バランスを考えた食事をしっかり摂ることに加え、フレイル予防に役立つ以下の食材も意識して取り入れてみてください。
フレイル予防に取り入れたい食材①:たんぱく質を多く含む食材(肉・魚・卵・大豆製品など)
筋肉の材料となるたんぱく質は、フレイル予防を考えるうえで、まず意識したい栄養素。
1日3食、毎食片手に乗るくらいの分量を目安にしましょう。特に「卵」は調理が簡単で良質なたんぱく質を含んでいるので、毎日の食卓にプラスしやすい食材です。
たんぱく質は筋肉維持に関わる栄養素として、フレイル予防の観点でも重視されています。
フレイル予防に取り入れたい食材②:カルシウムを多く含む食材(乳製品・小魚など)
骨密度を維持するために「カルシウム」も意識したい栄養素です。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は吸収率が高くおすすめです。骨折などのケガがフレイルのきっかけになることもあるため、骨を強くする食材は意識して取り入れていきましょう。
フレイルに取り入れたい予防食材③:ビタミンDを多く含む食材(鮭・青魚・きくらげ・卵など)
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康維持に関わる栄養素です。骨を丈夫にするだけでなく、筋肉の合成を促す働きもあります。
また、ビタミンDは日光を浴びることで体内でも作られるため、食事とあわせて、無理のない範囲で外に出る習慣を持つことも大切です。
フレイル予防を毎日の習慣に!今日できることからはじめよう
フレイル予防は早い時期から意識するに越したことはありませんが、いつからはじめても遅すぎることはありません。
まずは30分だけウォーキングしてみる、たんぱく質を含むおかずを一品増やしてみるなど、できることからはじめてみてください。
食事が減ってきた、体重が落ちてきた、疲れやすくなったなど、気になる変化がある場合は、自己判断で無理をせず、医師・薬剤師・管理栄養士などに相談することも大切です。
健栄の薬局でも、日々の食事や健康管理について気になることがあれば、お気軽にお声がけください。
毎日の小さな習慣を積み重ねながら、元気に過ごせる体づくりを意識していきましょう。
みなみ薬局
薬剤師