肌がつっぱる、額や鼻のテカリが気になる、いつもの化粧品が急にしみる――。そんな変化があると、「自分は乾燥肌? 脂性肌? それとも敏感肌?」と迷うことがあります。
ただし、肌の状態は生まれつきの傾向だけで決まるものではありません。季節、年齢、体調、洗い方、使っている化粧品などによっても変わります。大切なのは、無理に一つのタイプへ当てはめることではなく、今どのような症状があるかを確認し、ケアで様子を見られるのか、市販薬や受診が必要なのかを考えることです。
今回は、毎日のスキンケアと市販薬、皮膚科受診の見分け方を、健栄の薬局「みずき薬局 上志津店」の薬剤師がわかりやすく解説します。
乾燥肌・脂性肌・混合肌・敏感肌は医学的な診断名ではない?

スキンケアの情報では、肌を「乾燥肌・脂性肌・混合肌・敏感肌」の4タイプに分けることがあります。これは化粧品を選ぶときの目安にはなりますが、医学的な診断ではありません。
たとえば、額や鼻は皮脂が多いのに頬は乾燥することがあります。夏はべたつきやすくても、冬や冷房の効いた室内ではつっぱりを感じることもあるでしょう。洗いすぎによって乾燥し、同時に皮脂が気になる場合もあります。
また「敏感肌」は広く使われる言葉ですが、統一された医学的な定義があるわけではありません。化粧品がしみる、赤みやかゆみが出るといった状態の背景に、乾燥、かぶれ、湿疹、アトピー性皮膚炎などが隠れていることもあります。刺激を感じる状態が続くときは、「敏感肌だから」と決めつけないことが大切です。
まずは、今の肌に出ているサインを確認
タイプ名よりも、次のようなサインがあるかを見てみましょう。いくつかが重なっている場合もあります。
つっぱり・粉ふき・カサつきがある
皮膚の水分が不足し、バリア機能が低下している可能性があります。熱いお湯、洗浄力の強い洗顔料、タオルやコットンによる摩擦、空気の乾燥などが影響することもあります。まずは洗い方をやさしくし、洗顔や入浴の後に保湿を行います。
テカリ・べたつき・毛穴が気になる
皮脂が気になるからといって、何度も洗ったり強くこすったりするのは避けましょう。洗いすぎは刺激や乾燥につながります。顔はよく泡立てた洗顔料でやさしく洗い、十分にすすぎます。乾燥もある場合は、べたつきにくい保湿剤を少量から試すとよいでしょう。
赤いぶつぶつや膿をもったにきびが続く場合は、単なる「脂性肌」とは限りません。にきびをつぶさず、症状に合った治療を検討します。
にきびの種類や基本的なケアはについては、「ニキビでお悩みの方へ。種類別ケア方法」の記事も参考にしてください。
赤み・かゆみ・ヒリヒリ感がある
新しい化粧品を使った後や、汗・摩擦・マスクなどの刺激で症状が出た場合は、まず原因と思われる製品の使用を中止し、刺激を避けましょう。症状がある間はアイテムを増やさず、刺激の少ない洗浄と保湿を基本にしましょう。
赤みやかゆみ、湿疹が続く場合は、化粧品だけで整える段階ではないことがあります。広がる、じゅくじゅくする、強いかゆみがあるといったときは、早めに皮膚科へ相談してください。
乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いについては、「アトピー性皮膚炎と乾燥肌の違い」で解説しています。また、「あせも」と「湿疹」の見分け方や塗り薬の使い方を紹介した記事もありますので、あわせてご覧ください。
毎日のスキンケアは「落としすぎない・こすらない・補う」
肌の状態が違っても、基本となる考え方は共通しています。
- 洗顔料や石けんはよく泡立て、手でやさしく洗う
- 熱すぎるお湯を避け、洗浄料が残らないようにすすぐ
- タオルでこすらず、押さえるように水分を取る
- 洗顔や入浴の後は、肌の状態に合う保湿剤で補う
- 新しい製品を一度にいくつも使い始めない
化粧品に「低刺激」「敏感肌用」「アルコールフリー」などの表示があっても、すべての人に刺激やアレルギーが起こらないことを保証するものではありません。新しい化粧品は少量から試し、赤み、かゆみ、腫れ、刺激などが出たら使用を中止しましょう。腕の内側などで試して問題がなくても、顔の安全が保証されるわけではありません。症状を繰り返す場合は皮膚科での確認が必要です。
化粧品・薬用化粧品・市販薬は目的が違う
同じクリームやローションの形でも、化粧品、薬用化粧品(医薬部外品)、一般用医薬品では目的や表示できる効能・効果が異なります。
- 化粧品:皮膚を清潔にし、健やかに保つ、うるおいを与えるなど、日常の手入れに使うもの
- 薬用化粧品(医薬部外品):承認された有効成分を含み、認められた範囲の効能・効果を表示できるもの
- 一般用医薬品:乾燥性皮膚や湿疹・かゆみなど、表示された症状の治療を目的に使うもの
「薬用」と書かれていても、医薬品と同じように皮膚疾患を治療するものとは限りません。反対に、市販薬はスキンケア用品として漫然と使うものではありません。パッケージや説明文章に記載された区分、効能・効果、対象年齢、使用部位、用法・用量、使用上の注意を確認しましょう。
保湿剤や市販薬を選ぶときの注意点
乾燥だけで、赤みやじゅくじゅくがないとき
ワセリンなど皮膚の表面を保護するものや、化粧品の保湿クリームが選択肢になります。乾燥性皮膚を対象とした一般用医薬品には、ヘパリン類似物質や尿素などを配合した製品もあります。
ただし、成分だけで選ぶのではなく、塗る場所や皮膚の状態を確認することが重要です。尿素配合剤は、ひじ・ひざ・かかとなど角質が厚く硬くなった部位に向く製品がありますが、傷、ひび割れ、炎症のある部位では刺激を感じることがあります。顔や子どもに使えるかどうかも製品ごとに異なります。
ヘパリン類似物質を含む一般用医薬品も、出血性の病気がある方、目や粘膜、傷やただれのある部位などでは使用できない、または事前相談が必要な製品があります。必ず個々の製品の説明文書を確認してください。
赤み・かゆみ・湿疹があるとき
炎症を抑える成分やステロイドを含む市販薬が適する場合もありますが、見た目だけで湿疹、かぶれ、にきび、細菌や真菌による感染などを見分けるのは簡単ではありません。感染症のある部位には使えない製品もあります。
特に顔、目の周囲、広い範囲、乳幼児への使用や、妊娠中・授乳中の使用は、購入前に薬剤師または登録販売者へ相談してください。
市販のステロイド外用薬は、顔へ広範囲に使わない、長期連用しないなどの注意がある製品が一般的です。用法・用量と使用上の注意を守り、改善しないときは使い続けず受診しましょう。
塗り薬の量や塗り方は、薬ごとの説明や医師・薬剤師の指示を優先してください。
なお、塗り薬の使用量の目安となるFTU(フィンガーチップユニット)については、「塗り薬のFTUって何?」で詳しく紹介しています。
食事は「肌質別の栄養素」より、偏りを減らすことから

肌のために特定の栄養素だけを多くとれば、乾燥や皮脂、刺激に弱い状態が改善するとは言い切れません。ビタミンや脂質などを肌タイプごとに結びつけて自己判断するより、主食・主菜・副菜をそろえ、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを含む食事を無理なく続けることが基本です。
サプリメントは食事の代わりにはなりません。治療中の病気がある方、薬を服用している方、妊娠中・授乳中の方が利用するときは、成分や摂取量について医師や薬剤師へ相談しましょう。
セルフケアを続けず、皮膚科へ相談したいサイン

次のような場合は、「肌質の問題」として様子を見続けず、皮膚科への受診を検討してください。
- 赤み、湿疹、腫れ、かゆみが広がる、または繰り返す
- じゅくじゅくする、水ぶくれ、膿、強い痛み、出血がある
- かゆみで眠れないなど、日常生活に支障がある
- 顔や目の周囲に強い症状がある、または広範囲に症状が出ている
- 化粧品の使用を中止しても治まらない
- 市販薬を説明文書どおりに使用しても改善しない、または悪化した
- 乳幼児、妊娠中・授乳中、治療中の病気があるなど、自己判断が不安
唇やまぶたが急に腫れる、息苦しい、のどが詰まる感じがあるなど、重いアレルギー反応が疑われるときは、ためらわず119番への通報を含めた緊急対応が必要です。
迷ったときは、薬局で一緒に整理できます
肌の悩みは、化粧品で手入れを続けてよいのか、市販薬を選ぶのか、皮膚科へ行くのかで迷いやすいものです。薬局では、症状が出た時期、使用中の化粧品や薬、症状の部位や広がり、年齢、持病などを確認し、市販薬を選べる状態か、受診を優先したほうがよいかを一緒に整理します。
「敏感肌だと思うけれど、何を使えばよいかわからない」「保湿剤と塗り薬の違いがわからない」といった段階でも構いません。みずき薬局 上志津店をはじめ、お近くの健栄の薬局へお気軽にご相談ください。
この記事を監修した薬局

<参考文献>
みずき薬局 上志津店
薬剤師
望月