「園から頭シラミ発生のお知らせが届いた」「プールやお泊まり会の後、子どもが頭をかいている」と心配になる保護者の方もいるでしょう。
頭シラミは、不潔だから発生するものではありません。幼稚園や保育園などで子ども同士の髪が触れたり、タオルや寝具などを共用したりすることで、誰にでもうつる可能性があります。
今回は、プールやお泊まり会で気をつけたいこと、頭シラミの見つけ方、家庭での正しいケア、市販の駆除薬を使うときの注意点について、健栄の薬局「勝田台薬局」の薬剤師が解説します。
頭シラミってどんな虫?

頭シラミは、人の頭髪に寄生し、頭皮から吸血して生活する小さな昆虫です。
成虫は数mmほどの大きさで、髪の間を素早く動くため、寄生している数が少ないうちは見つけにくいことがあります。羽はなく、飛んだり跳ねたりする虫ではありません。
頭シラミが寄生すると、頭を頻繁にかくことがあります。ただし、寄生し始めたばかりの時期には、かゆみなどの症状が出ないこともあります。
特に幼稚園や保育園では、子ども同士が頭を寄せて遊んだり、一緒に昼寝をしたりする機会が多いため、髪から髪へとうつることがあります。また、帽子やタオル、寝具、ブラシなど、頭に触れる物の共用も、広がるきっかけになります。
頭を頻繁にかゆがる、髪の根元に白い粒が付いているなどの変化が見られた場合は、頭シラミの可能性もあります。
卵は髪にしっかりと付着し、フケなどとは異なり、指で触れただけでは簡単に取れないのが特徴です。見分けに迷う場合は自己判断せず、保健所や皮膚科などに相談しましょう。
頭シラミが見つかっても、子どもを責めたり、必要以上に恥ずかしがったりする必要はありません。正しい知識をもとに、落ち着いて対処することが大切です。
プールやお泊まり会で頭シラミはうつる?
頭シラミは季節を問わず発生しますが、プールや水遊び、お泊まり保育など、子ども同士が近い距離で過ごす場面では注意が必要です。
「同じプールに入ったら、頭シラミがうつるのでは?」「お泊まり会に参加させても大丈夫?」と不安になる保護者の方もいるでしょう。
頭シラミは、主に髪と髪が直接触れることで人から人へ移ります。タオル、帽子、枕、寝具、ブラシなど、頭に触れる物を共用した場合にもうつる可能性があります。
プールの水そのものからうつる可能性は低い
頭シラミが、プールの水の中を泳いで別の子どもへうつる可能性は低いとされています。
そのため、「同じプールに入ったから頭シラミがうつる」と過度に心配する必要はありません。
ただし、プールや水遊びの場面では、着替えのときに子ども同士の髪が触れたり、持ち物を取り違えたりすることがあります。
次のような、頭に触れる物の貸し借りは避けましょう。
- タオル
- 水泳帽や帽子
- ブラシやくし
- ヘアゴムやヘアアクセサリー
タオルや帽子には名前を書き、自分の物を使うよう子どもに伝えておくと安心です。
お泊まり会では髪の接触や寝具の共用に注意
お泊まり会やお泊まり保育では、子ども同士が近い距離で過ごし、一緒に寝ることがあります。
頭シラミは飛んだり跳ねたりする虫ではありませんが、寝ている間に髪同士が触れたり、枕、寝具、タオルなどを共用したりすることでうつる可能性があります。
必要以上に参加を控えるのではなく、次の点を意識しましょう。
- タオルや帽子を貸し借りしない
- 枕や寝具をできるだけ共用しない
- ブラシやくしを個別に用意する
- 帰宅後に子どもの髪や頭皮を確認する
園から頭シラミ発生のお知らせがあった場合も、慌てる必要はありません。まずは明るい場所で、子どもの髪を丁寧に確認してみましょう。
頭シラミを見つけたら?家庭で行う対策

子どもの髪に頭シラミや卵らしきものを見つけると、驚いてしまう保護者の方も少なくありません。しかし、頭シラミは特別なものではなく、集団生活を送る子どもであれば誰でも寄生される可能性があるとされています。
慌てて髪を短く切ったり、家中を徹底的に消毒したりする必要はありません。
正しい知識をもとに、家族で落ち着いて対策を始めましょう。
頭シラミの対策①:家族全員の頭髪を確認する
頭シラミが見つかった場合は、本人だけでなく兄弟姉妹や保護者を含め、家族全員の頭髪を確認するとよいでしょう。特に一緒に寝ている家族や、日頃から頭が触れ合う機会が多い家族は、耳の後ろやうなじ付近の髪の根元を丁寧に確認します。
症状がなくても頭シラミが見つかることがあります。ただし、家族全員に一律に駆除薬を使用するのではなく、頭シラミの寄生が確認された人に必要な対策を行いましょう。
頭シラミの対策②:専用のすきぐしで取り除く
目の細かい頭シラミ用のすきぐしを使い、成虫や幼虫、卵を物理的に取り除く方法があります。
髪を少量ずつ分け、髪の根元から毛先に向かって丁寧にとかします。髪が絡まりやすい場合は、髪をぬらすなど、くしを通しやすくしてから行いましょう。
一度ですべて取り除けるとは限りません。頭髪の状態を確認しながら、専用のすきぐしによるケアを繰り返しましょう。
市販の駆除薬を用法どおりに使用しても、生きた頭シラミが見つかる場合があります。このような場合も、使用回数を自己判断で増やさず、すきぐしによる除去や薬剤師などへの相談を検討してください。
頭シラミ駆除薬は用法・用量を守って使用する
頭シラミの駆除には、市販のシャンプータイプやパウダータイプなどの医薬品が使用されることがあります。
使用する際は添付文書をよく読み、使用量、使用方法、使用する間隔を守りましょう。
頭シラミの卵には、薬剤が十分に作用しにくい場合があります。そのため、卵が孵化する時期に合わせ、一定の間隔を空けて複数回使用する製品があります。
早く駆除したいからといって、自己判断で使用回数を増やしたり、使用間隔を短くしたり、複数の薬剤を併用したりすることは避けてください。
子どもに使用する際は保護者が付き添い、薬剤が目、口、鼻などに入らないよう注意します。また、頭皮に湿疹、かぶれ、ただれなどがある場合は、製品によって使用できないことがあります。使い方や注意事項がわからない場合は購入前に薬剤師へ相談しましょう。
頭シラミを家庭内で広げないための対策
頭シラミが見つかった場合、本人だけでなく家族全体で適切なケアを行うことが大切です。しかし、必要以上に神経質になる必要はありません。
家具を処分したり、家中を徹底的に消毒したりするのではなく、日常生活の中でできる対策を続けましょう。
ここでは、家庭で実践しやすい頭シラミのケア方法について解説します。
枕カバーやシーツなどを洗濯する
頭シラミが見つかった場合は、枕カバーやシーツ、タオル、帽子など、頭に触れたものはこまめに洗濯しましょう。
素材に問題がなければ、洗濯前に60℃以上のお湯に5分以上浸したり、衣類乾燥機などで熱処理したりする方法もあります。熱処理を行う際は、やけどや素材の傷みにご注意ください。
一方で、家具や衣類を処分したり、家中に殺虫剤をまいたりする必要はありません。身の回りの物の共用を避け、日常的な洗濯と掃除を続けることが基本です。
タオルや帽子、ブラシの共用を避ける
対策を行っている期間は、次の物を家族で分けて使用しましょう。
- タオル
- 帽子
- 枕や枕カバー
- ヘアブラシやくし
- ヘアゴムなどのヘアアクセサリー
使用したブラシやくしは、素材に適した方法で洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。できることを一つずつ続け、落ち着いて対処しましょう。
登園やプールへの参加は園に確認しましょう
頭シラミが見つかった場合は、通っている幼稚園や保育園、学校へ伝えましょう。
頭シラミは、子ども同士の距離が近い集団生活の中で広がることがあります。園・学校と家庭が情報を共有し、周囲の子どもも含めて早めに確認することが、広がりを防ぐことにつながります。
頭シラミが見つかったことだけを理由に、原則として登園・登校を控える必要はないとされています。ただし、登園・登校やプールへの参加については、園や学校ごとに対応方針が異なる場合があります。頭シラミが見つかったことや、家庭で対策を始めたことを伝え、園・学校の案内に従いましょう。
また、頭シラミは清潔さとは関係なく、誰にでも寄生する可能性があります。
子どもが責められたり、仲間外れになったりしないよう、周囲の大人が正しい知識を持って対応することも大切です。
頭シラミ対策に迷ったら薬剤師へ
頭シラミは、不潔だから起こるものではありません。
お子さんやご家族を責めることなく、家族全員で頭髪を確認し、正しい方法で落ち着いて対策を続けましょう。
頭シラミの駆除薬は、製品によって使用量、使用方法、使用する間隔、注意事項などが異なります。
「子どもにどの商品を使えばよいかわからない」「使う回数を確認したい」「駆除薬を使った後も頭シラミが見つかる」といった場合は、お近くの健栄の薬局で薬剤師にお声がけください。
頭皮をかき壊して出血や化膿がみられる、湿疹やただれがある、頭シラミかどうか判断できないといった場合は、皮膚科などの医療機関へ相談しましょう。
<参考文献>
国立健康危機管理研究機構(JIHS)「シラミ症」
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/louse/010/louse-intro.html
東京都保健医療局「アタマジラミ対策パンフレット」
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/eisei/yomimono/nezukon/atamajirami
勝田台薬局
薬剤師
島田