【脱水症状対策】喉が渇かなくても「経口補水液 ORS」が必要なサイン

ひまわり薬局 戸頭店 永野

「喉が渇いていないから大丈夫」と思っていても、実は体の中では脱水が進んでいることがあります。特に高齢者やお子さんは、喉の渇きを感じにくいため注意が必要です。

本記事では、健栄の薬局「ひまわり薬局戸頭店」の薬剤師が、経口補水液ORS(Oral Rehydration Solution)が必要なサインや正しい活用方法について解説します。

「喉が渇いていない」のに脱水が起きるのはなぜ?

「喉が渇いていない」のに脱水が起きるのはなぜ?

脱水症状というと、強い口の渇きや倦怠感をイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、喉の渇きを感じないまま脱水が進んでいるケースもあります。

喉の渇きを感じないまま脱水が進んでいる理由のひとつが、加齢による口渇感(のどの渇きを感じるセンサー)の低下です。高齢者は体内の水分量が若い世代より少なく、脱水になりやすい一方で、渇きを感じにくいという特徴があります。

また、以下のような状況では、気づかないうちに水分と電解質が失われています。

  • 発熱や微熱が続いているとき
  • 下痢や嘔吐があるとき
  • 暑い環境での作業や運動後
  • 食欲がなく食事量が減っているとき
  • 冷房の効いた室内で長時間過ごしているとき

「水分を飲んでいるから大丈夫」と思っていても、水だけでは補えない電解質(ナトリウムやカリウムなど)が失われている場合があります。このような状況で力を発揮するのが、経口補水液ORSです。

経口補水液ORS(Oral Rehydration Solution)とは

経口補水液ORS(Oral Rehydration Solution)とは

経口補水液ORS(Oral Rehydration Solution)は、水分と電解質をすばやく体内に吸収させるために設計された飲み物です。

ポイントは、水と塩分(ナトリウム)と糖分(ブドウ糖)のバランスにあります。小腸では、ナトリウムとブドウ糖が一緒に存在することで吸収が促進されるしくみ(共輸送体)があります。ORSはこのしくみを活用し、水分と電解質を効率よく吸収できるよう設計されています。

スポーツドリンクとよく混同されますが、両者には明確な違いがあります。スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少ないため、嘔吐や下痢による脱水の補給には適していません。ORSは医療的な観点から配合されており、体液に近い成分バランスになっています。

経口補水液ORSが必要なサイン

次のような状態が見られたときは、水やスポーツドリンクではなくORSを活用することを検討しましょう。

体のサイン

  • 尿の色が濃い黄色になっている
  • 尿の量が明らかに減っている
  • 口の中や唇が乾燥している
  • 皮膚をつまんで離しても、戻りが遅い(皮膚ツルゴールの低下)
  • めまいや立ちくらみがある
  • 頭痛や倦怠感が続いている

状況のサイン

  • 発熱が38度以上続いている
  • 下痢や嘔吐が数回以上あった
  • 食事がほとんど食べられていない
  • 炎天下や高温の環境に長時間いた

特に高齢者・乳幼児・持病のある方は脱水が重症化しやすいため、早めのORSの活用が重要です。

ORS(経口補水液)の正しい飲み方と注意点

ORS(経口補水液)の正しい飲み方と注意点

ORSは、一度にたくさん飲もうとすると嘔吐を誘発することがあります。少量をこまめに飲むのが基本です。体調に合わせて、ゆっくり補給するようにしましょう。

また、ORSは常温または軽く冷やした状態で飲むのがおすすめです。特に嘔吐や下痢がある場合は、冷たい飲み物が刺激になることがあるため、常温で少しずつ補給をすると安心です。暑い環境での脱水対策では、少し冷やした方が飲みやすくなる場合もありますが、冷やしすぎには注意しましょう。

飲み方の目安

  • 嘔吐や下痢がある場合:スプーン1〜2杯程度から始め、5〜10分おきに少しずつ飲む
  • 熱中症や発汗による脱水:コップ半分程度をゆっくり飲む
  • 予防的に飲む場合:運動前後や入浴後などに適量を補給する

注意が必要なケース

ORSはすぐれた補水手段ですが、以下の場合は自己判断での使用は控え、医療機関を受診してください。

  • 意識がもうろうとしている
  • 嘔吐が激しく、飲んだものをすぐに戻してしまう
  • 高熱と脱水が同時に起きている
  • 乳幼児で脱水の症状が進んでいる

また、腎臓の機能が低下している方や、カリウム制限が必要な方は、ORSの使用前に必ず医師や薬剤師にご相談ください。

自宅でできる経口補水液の作り方

市販のORSが手元にないときは、家庭にある材料で代用液を作ることができます。

【材料】(1リットル分)

  • 水:1リットル
  • 砂糖:40g(大さじ約4と1/2杯)
  • 塩:3g(小さじ約1/2杯)

水に砂糖と塩をよく溶かすだけで完成です。レモン汁を少量加えると、飲みやすくなります。

なお、手作り経口補水液を甘くする目的で「はちみつ」を代用することは、乳児ボツリヌス症のリスクから1歳未満の乳児には絶対に与えないようにしましょう。また、手作りの経口補水液は、防腐剤等が含まれず雑菌が繁殖しやすいため24時間以内に消費するようにしてください。

ただし、これはあくまで緊急時の代替手段です。市販のORSは配合が精密に設計されているため、継続して使用する場合や症状が続く場合は市販品を選ぶようにしましょう。

調剤薬局・ドラッグストアでのORS選び

市販のORSにはさまざまな種類があり、成分や用途が異なります。

  • 一般的なORS:発熱・下痢・嘔吐時の水分補給に適したもの
  • 高齢者向け:飲みやすい味・量に調整されたもの
  • 子ども向け:甘みを調整し飲みやすくしたもの

「どれを選べばいいかわからない」「持病があるので成分を確認したい」といった場合は、調剤薬局の薬剤師にご相談ください。症状や状況に合わせて、最適なORSをご提案します。

脱水は「なってから」ではなく「なる前」に対策を

脱水症状は、気づいたときにはすでに中程度まで進んでいることがあります。喉の渇きを待つのではなく、「喉が渇く前に補給する」習慣が脱水予防の基本です。

特に夏場や体調不良のとき、高齢者の方の日常ケアとして、ORSを一本常備しておくことをおすすめします。

「最近なんとなく体がだるい」「食欲がない日が続いている」といった気になる症状がある場合も、無理をせず早めの対策が大切です。
経口補水液の選び方や飲み方について迷った際は、お近くの健栄の各薬局へお気軽にご相談ください。

<外部サイト参照リスト>

電解質と糖質の配合バランス|経口補水液オーエスワン(OS-1)(大塚製薬工場)

https://www.os-1.jp/about/enableindication/evidence/01

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