「雨が降る前になると頭痛がする」「台風が近づくと古傷が痛む」……。そんな経験はありませんか?
天気の変化によって起こるこうした不調は「気象病(天気痛)」と呼ばれ、近年そのメカニズムが解明されつつあります。
今回は、健栄の薬局「みずき薬局佐倉店」の薬剤師が、低気圧で体調が崩れる仕組みとその乗り切り方について、客観的な知見に基づき詳しく解説します。
低気圧で頭痛…その症状は気象病(天気痛)かも?

「天気が悪いと気分が落ち込む」「急に冷え込むと関節が痛む」といった、気象の変化に伴う心身の不調を総称して「気象病」と呼びます。
なかでも、頭痛や関節痛など痛みを伴う症状は「天気痛」とも表現され、多くの人を悩ませています。
ウェザーニューズが行った「天気痛調査2023」によると、日本人の約7割が「自分は天気痛がある」と感じており、その自覚症状のトップは「頭痛」でした。
その他にも、首や肩のこり、全身の倦怠感、めまいや吐き気など、症状は多岐にわたります。
これらの不調は、個人の体質や「気の持ちよう」として片付けられがちでしたが、現在では医学的な研究が進み、その原因・メカニズムがわかってきました。
なぜ天気の変化で不調が起きる? 気象病(天気痛)のメカニズム

なぜ天気の変化で不調が起こるのか。その鍵となるのが、耳の奥にある「内耳(ないじ)」と「自律神経のバランス」です。
内耳には、気圧の変化を感知するセンサーのような働きがあります。急激な気圧の低下(台風の接近や低気圧の発達など)をこのセンサーが敏感に察知し、脳にその情報を伝えます。
この刺激がストレスとして伝わることで、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
自律神経には、体を活動モードにする「交感神経」と、リラックスモードにする「副交感神経」がありますが、気象病の方の多くは、この交感神経が過剰に興奮してしまう傾向にあります。
交感神経が活発になりすぎると、血管の収縮・拡張が起こり、血管周囲の神経が刺激されることで「ズキズキ」とした頭痛が起こります。また、内耳は平衡感覚も司っているため、ここが刺激されることで「ふわふわ」としためまいを感じることもあります。
気象病(天気痛)は治療できる?

気象病(天気痛)を根本的に治す方法は、現時点では確立されていません。
そのため、症状を和らげる対症療法が基本になります。
頭痛やめまいなどといった症状に合わせ、血管の拡張を抑える鎮痛薬や、内耳のむくみを改善する漢方薬(五苓散など)が用いられることがあります。
また、自律神経の乱れを整えるために、規則正しい生活や十分な睡眠、耳周りの血行を良くするマッサージも併用します。
さらに、「痛み日記」をつけることも対策の一つです。日記・天気・痛みの部位・強さなどを記録することで、自分の症状の傾向がわかり、早めの服薬や予定調整などの対策につなげることができます。
完治というよりは、自分の体質に合った薬の種類や飲むタイミングを把握し、天候の変化とうまく付き合える状態を目指すのが治療のゴールです。症状が重い場合は、専門の「天気痛外来」などで医師の診断を受けることも検討しましょう。
自律神経の乱れを整える!気象病(天気痛)を予防する日常のセルフケア
気象病(天気痛)による不調を和らげるためには、日頃から自律神経のバランスを整え、気圧の変化に負けない体づくりをしておくことが大切です。
まずは「睡眠」と「食事」のリズムを一定にしましょう。毎朝同じ時間に起きて太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになります。また、自律神経の働きをサポートするビタミンB群や、ストレスを和らげるマグネシウムを積極的に食事に取り入れることも有効です。
さらに、気圧センサーがある内耳の血行を良くする「耳のマッサージ」も効果的です。両耳を軽くつまんで上下や横に引っ張ったり、後ろに向けてゆっくり回したりするストレッチを、朝・昼・晩にそれぞれ数回ずつ行ってみましょう。耳周りの血流が促されることで、気象病の症状の予防が期待できます。
気象病(天気痛)の緩和に役立つ市販薬もあります。薬剤師にご相談ください
気象病(天気痛)の症状は、市販薬で緩和できる場合もあります。
「症状が出ているけど病院に行く時間がない」というときは市販薬で痛みを和らげるのも一つの方法です。
市販薬の鎮痛剤は、痛みが出始めた早い段階で服用すると効果的とされています。我慢して痛みが強くなってから服用すると、効果が得られにくくなる場合があります。
ただし、予防的な服用や過剰な使用は避ける必要があります。症状や体質によって適した薬は異なるため、使用に迷う場合は薬剤師へ相談することが大切です。
低気圧による体調不良は、適切な対策をとることで軽減できる場合があります。気象の変化による頭痛やめまいなどでお困りの方は、お近くの健栄の薬局の薬剤師にご相談ください。
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関連記事:鎮痛薬・鎮痛剤を飲みすぎるとどうなる?副作用と薬との正しい付き合い方
<参考文献>
「気象病」は気圧や温度・湿度の変動などで起こるさまざまな不調(第一三共ヘルスケア)
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/selfcare/weatherdisease-01/#d06
天気痛(大正製薬ナビ)
みずき薬局 佐倉店