汗や皮脂の分泌が増える夏の時期は、肌荒れやニキビのようなブツブツ、肌のざらつきが気になりやすい季節です。
その原因は、汗や皮脂、紫外線、マスクや化粧品による刺激など様々ですが、肌に存在する「肌ダニ(顔ダニ)」が関係していることもあります。
今回は、肌ダニと夏の肌環境の関係、肌トラブルが気になるときの対処方法について、健栄の薬局「オレンジ薬局」の薬剤師がわかりやすく解説します。
人の肌に存在する「肌ダニ(顔ダニ)」とは

肌ダニ、いわゆる顔ダニ(学名:デモデックス)は、顔の毛穴や皮脂腺に生息する体長0.1〜0.4mmほどの目に見えない小さなダニです。
「肌にダニがいる」と聞くと驚くかもしれませんが、実は、多くの人の肌に存在しています。
通常は症状を起こさず、皮脂や角質などが多い場所にすみついています。
肌ダニがいること自体が、すぐに病気や肌荒れを意味するものではありません。
しかし、皮脂が多い状態が続いたり、肌のバリア機能が乱れたりすると、肌ダニが増えやすい環境になることがあります。その結果、赤みやブツブツ、かゆみ、ざらつきなどの肌トラブルを引き起こす場合があります。
夏は肌ダニ・顔ダニが増殖しやすい?汗・皮脂との関係

夏は、特に顔ダニの異常増殖に注意が必要な季節です。
というのも、顔ダニは、皮脂を栄養としています。
夏は汗をかく機会が多いですが、汗と一緒に肌の水分が蒸発するため、乾燥から肌を守るべく皮脂分泌も活発になります。
つまり、夏場は皮脂を栄養とする顔ダニが活発に増殖しやすい時期なのです。
特に、日本の夏は寝苦しい夜が多く、睡眠不足に陥りがち。睡眠の質が低下すると、自律神経のバランスが乱れてさらに皮脂分泌が促進されるだけでなく、肌のバリア機能そのものが低下してしまいます。
エサが増えてダニが爆発的に繁殖する一方で、肌の抵抗力が落ちてしまう。このダブルパンチが、夏の肌荒れを悪化させるメカニズムです。
顔ダニの異常増殖で現れる症状

顔ダニが増えすぎると、肌トラブルに関係することがあります。
たとえば、以下のような症状がみられる場合があります。ご自身の肌に同じような症状がないかチェックしてみてください。
顔ダニ増殖による症状①:治りにくいニキビのようなブツブツ(丘疹)
一般的なニキビ(アクネ菌によるもの)と異なり、芯(コメド)がない小さくて赤いブツブツが顔全体や頬、鼻の周りに多発するのが特徴です。かゆみを伴うこともあります。ただし、見た目だけで一般的なニキビと顔ダニによる症状を区別することは難しいです。ニキビ、酒さ、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎なども似た症状が出ることがあります。
顔ダニ増殖による症状②:肌のゴワつき・カサつき
ダニが健康な皮膚細胞を傷つけるため、肌のターンオーバーが乱れて肌のバリア機能が低下し、乾燥やゴワつき、カサつきを感じることがあります。
夏は汗や皮脂が多い一方で、冷房や紫外線の影響で肌が乾燥しやすい時期です。皮脂が多いのに乾燥も感じる、という状態になることもあります。
肌のバリア機能が乱れると、刺激を受けやすくなり、普段使っている化粧品がしみるように感じることもあります。
顔ダニ増殖による症状③:顔全体の赤みやヒリヒリした痛み
肌全体が敏感になることで、汗をかいたときや顔を洗ったあとなどにヒリヒリとした痛みを感じることも。炎症が慢性化し、肌が常に赤みを帯びた状態になることもあります。
赤みやヒリつきが長く続く場合は、自己判断でスキンケアを変え続けるよりも皮膚科で相談することが大切です。
特に、顔全体の赤みが続く、ブツブツが繰り返す、かゆみや痛みを伴う、いつものスキンケアや市販薬で改善しないといった場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
「これって顔ダニ?」と思ったときの対処法

いつも使っているニキビ薬が効かなかったり、しっかり洗顔しているのになかなか赤みが引かないという場合は、顔ダニを含めた別の原因が関係している可能性もあります。
ただし、症状だけで「顔ダニが原因」と判断することはできません。
まずは、洗顔や保湿、生活習慣、市販薬の使い方を見直し、必要に応じて薬剤師や医師へ相談しましょう。
顔ダニの対処法①:市販薬を使う
市販薬を使う場合は、症状に合わせて薬(成分)を選択します。
- かゆみを抑える:クロタミトン
- ニキビのようなブツブツを抑える:硫黄、dl-カンフル
- 皮脂の分泌を調整する:ビタミンB2、B6
ただ、これら市販薬はあくまで対症療法。現在のところ、顔ダニの増殖を直接抑える市販薬は国内で販売されていません。
また、薬の選び方を誤るとかえって肌トラブルを悪化させてしまう可能性もあるため、購入時は薬剤師に相談することをおすすめします。
顔ダニの対処法②:皮膚科を受診する
皮膚科では、顕微鏡を使って毛穴の皮脂を調べ、顔ダニが過剰に増殖していないかを客観的に診断することができます。
もし顔ダニの異常増殖と診断された場合は、医師の判断により「イベルメクチンクリーム(抗寄生虫薬)」や、炎症を抑える「メトロニダゾール外用薬」などの外用薬が使用される場合があります。
自己判断で強い薬を使い続けたり、スキンケアを何度も変えたりするよりも、症状が続く時は専門的な診断を受けることが大切です。
夏の汗や皮脂から肌を守って顔ダニ症状を回避しよう
夏の肌荒れは、汗や皮脂、紫外線、乾燥、睡眠不足など、さまざまな要因が重なって起こることがあります。肌ダニ(顔ダニ)も、その一因として関係する場合があります。
大切なのは、汗や皮脂を放置しないこと、肌をこすりすぎないこと、洗いすぎず保湿を続けることです。
洗顔はぬるま湯でやさしく行う。日焼け止めやメイクはその日のうちに落とす。枕カバーやタオルを清潔に保つ。こうした日々の小さなケアが、夏の肌環境を整えることにつながります。
一方で、赤みやブツブツ、かゆみ、ヒリつきが続く場合は、自己判断で対処し続けないことも大切です。
健栄の薬局では、夏の肌荒れや、ニキビのようなブツブツ、かゆみ、スキンケア用品や市販薬の選び方について薬剤師に相談できます。皮膚科を受診した方がよいか迷う場合も、お気軽にご相談ください。
夏の肌トラブルを早めにケアし、健やかな肌で過ごせるよう、日々のスキンケアを見直していきましょう。
オレンジ薬局
薬剤師
深尾