厳しい暑さが一段落する夏の終わりから秋口にかけても、蚊はまだまだ油断できません。
気づけば腕や足に赤いふくらみができていて、「かゆい!」と掻きむしってしまった経験はありませんか?
なかには、爪でバツ印をつける方もいるかもしれません。気持ちはよくわかりますが、強く押したり掻いたりすると、かえって皮膚を傷つけてしまうことがあります。
蚊に刺されたら、最初に何をすればよいのでしょうか。
刺された直後のケアと、市販のかゆみ止めを選ぶときのポイントを健栄の薬局「みずき薬局 市原店」の薬剤師がお伝えします。
蚊に刺されたらどうする?まず行いたいケア

蚊に刺されたとき、爪でバツ印をつけたり、掻きむしったりしていませんか?
しかし、爪で強く押したり掻いたりすることは、適切な対処とはいえません。患部を傷つけると、その刺激によってかゆみが増してしまうことがあります。
ここでは、蚊に刺されたときにまず行いたいケアをお伝えします。
蚊に刺されたときの正しいケア①:水で洗い流す
まずは刺された患部を石けんを使って洗い、水で流して清潔にしましょう。ゴシゴシこする必要はありません。汗や汚れを落とし、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取ります。清潔にすることで、細菌が入り込んで悪化することを防ぎます。外出先などで洗う場所がすぐに見つからないときは、ウェットティッシュなどで軽く拭く方法もあります。 ただし、アルコールを含むウエットティッシュは、傷のある皮膚や敏感な肌ではしみることがあるため注意してください。
蚊に刺されたときの正しいケア②:患部を冷やす
かゆみや腫れが気になるときは、濡らしたタオルや布で包んだ保冷剤で患部を冷やします。冷やすことで痒みや腫れを軽減できます。保冷剤を直接肌に当てると冷えすぎてしまうことがあるので、数分ずつ様子を見ながら使いましょう。
小さなお子さんは掻きむしってしまいやすいので、かゆみを和らげるケアが特に重要です。
爪でバツ印、掻きむしりは逆効果になることも
蚊に刺されたところに爪でバツ印をつけると、かゆみが一時的に紛れるように感じることがあります。
ただし、皮膚に強い刺激を与えても、虫刺されそのものが治るわけではありません。
掻き壊したところから細菌が入り、ジュクジュクしたり、とびひにつながったりすることもあります。
特に小さなお子さんは、寝ている間や無意識のうちに掻いてしまいがちです。爪を短く整え、冷やしてもかゆみが気になるときは、早めにかゆみ止めを使うことも考えましょう。
蚊に刺されたら痒み止めは使った方がよい?

症状が軽く、冷やすだけで気にならなくなるようなら、必ずしも薬を塗る必要はありません。
一方で、かゆみが続く、つい掻いてしまう、赤みや腫れが目立つといった場合には、市販のかゆみ止めが役立つことがあります。
ただし、「一番強そうな薬を選べばよい」というわけではありません。
薬局では、かゆみの強さだけでなく、
「誰が使うのか」
「どこに塗るのか」
「いつから症状が出ているのか」
「掻き壊しや傷はないか」
といったことも確認しながら薬を選びます。
同じ蚊のかゆみ止めでも、子どもに使うのか、大人が使うのか、腕に塗るのか、顔の近くに塗るのかによって、選び方は変わってきます。
かゆみ止め(市販薬)の選び方

ドラッグストアの棚には非常に多くの虫刺され薬・かゆみ止めが並んでおり、「どれを選べばいいのかわからない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
市販薬を選ぶ際は、「現在出ている症状」と「塗る人の年齢・使用する部位」に合わせて成分をチェックするのが正解です。
薬局でよく使われる市販薬の主な成分と選び方のポイントをまとめました。
かゆみ止めの選び方①:かゆみが比較的軽いときは「抗ヒスタミン成分」
かゆみが比較的軽い場合は、「抗ヒスタミン成分」や「清涼成分」が配合された薬が選択肢になります。
抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミンなど)は、かゆみの原因物質(ヒスタミン)の働きをブロックして痒みを抑えます。
清涼成分(l-メントール、dl-カンフルなど)は、スーッとする成分が入っている商品もあります。清涼感でかゆみが紛れることがありますが、肌が敏感な方や小さなお子さんには刺激になる場合があります。
「スーッとするほどよく効く」というわけではないため、使う方の肌に合うものを選びましょう。
かゆみ止めの選び方②:かゆみや炎症が強いときは「ステロイド成分」
かゆみが強い、赤みや腫れがある、といった場合は、炎症を抑える「ステロイド成分」が配合された薬が選択肢になります。
ただし、ステロイド外用薬には作用の強さに違いがあります。市販薬でも、商品によって使える年齢や部位が異なります。
特に、顔や目の周囲、広い範囲に塗る場合や、子どもに使う場合は、購入前に薬剤師や登録販売者に確認すると安心です。
また、掻き壊してジュクジュクしている、膿が出ている、水ぶくれが広がっているようなときは、一般的な虫刺され薬が適さないこともあります。
かゆみ止めの選び方③:子どものかゆみ止めは「子ども用」だけで決めない
子どもに使う薬は、「子ども用」と書かれているだけで判断せず、対象年齢を確認してください。
同じ虫刺され薬でも、使える年齢や場所は商品ごとに違います。
貼るタイプの虫刺され薬は、患部を直接掻きにくくできる点では便利です。ただし、皮膚がかぶれたり、小さなお子さんが剥がして口に入れたりしないよう注意が必要です。
乳幼児に使う場合や、顔や目の近くに塗る場合は、薬剤師に相談してから選ぶとよいでしょう。
去年買ったかゆみ止め、まだ使える?
薬局では、「家に去年のかゆみ止めがあるのですが、使っても大丈夫ですか?」と聞かれることがあります。
まず確認したいのは、容器や外箱に記載された使用期限と、いつ開封したかです。記載されている使用期限は、一般に未開封の状態で適切に保管した場合の期限です。開封後に使用できる期間は、製品や保管状態によって異なります。
使用期限内でも、開封してから長い時間がたっているものや、高温になる場所に置いていたもの、薬の色やにおいが変わっているものは、使用を避けた方がよい場合があります。
また、大人が使っていた薬を、そのまま子どもに使えるとは限りません。塗ろうとしている場所に使える薬かどうかも確認が必要です。
薬の名前がわからない場合は、現物やパッケージを薬局へお持ちください。持ち歩くのが難しければ、スマートフォンで容器や成分表示の写真を撮っておくと、確認しやすくなります。
こうした「手元にある薬を使ってよいか」という相談も、薬局でよく受ける相談のひとつです。
本当に蚊に刺された症状?
赤くてかゆい発疹を見ると、つい「蚊に刺された」と思ってしまいます。
ところが、朝起きるたびに発疹が増えている、家族にも同じ症状がある、発疹がまとまって出ているといった場合は、蚊以外の虫が原因のこともあります。
ノミやダニ、ブユ、トコジラミなど、原因となる虫によって症状の出方はさまざまです。虫刺されではなく、かぶれやじんましんの場合もあります。
「いつもの蚊とは少し違う」と感じたら、同じ薬を塗り続けず、薬剤師や医療機関に相談してください。
かゆみ止めの選び方に迷ったら、薬剤師にご相談を
かゆみ止めの薬は、蚊に刺されたときの症状を和らげるための選択肢ですが、かゆみの強さだけで選ぶものではありません。
使う方の年齢、塗る場所、赤みや腫れの程度、傷の有無によって、適する薬は変わります。
「子どもに使ってよいかわからない」
「顔に塗ることができる薬を知りたい」
「家にある薬がまだ使えるか確認したい」
「蚊に刺されたのか、別の症状なのか迷っている」
そんなときは、お近くの健栄の薬局の薬剤師にご相談ください。症状や肌の状態を伺ったうえで市販薬をご案内することもあれば、市販薬を使わず医療機関を受診した方がよいとお伝えすることもあります。
ちょっとした虫刺されだからと我慢せず、困ったときは気軽にお声がけください。
<参考文献>
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「虫刺され Q12 虫刺されの治療はどうすればよいですか?」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「市販のくすり(一般用医薬品・要指導医薬品)を使用する場合、どんなことに注意したらよいですか?」
- 厚生労働省「蚊媒介感染症」
みずき薬局 市原店
薬剤師
西嶋