夏の暑さや冷房による疲れだと思っていたら、鼻水やのどの痛み、咳が続く。
そんなときは、単なる疲れではなく、風邪の原因となるウイルスによる感染症が関係していることもあります。
今回はこの「ライノウイルス」について、症状から潜伏期間、予防法について、健栄の薬局「ひまわり薬局戸頭店」の薬剤師が詳しく解説します。
ライノウイルスとは

ライノウイルス(Rhinovirus)の「ライノ」とは、ギリシャ語で「鼻」を意味します。
その名の通り、人間の鼻やのどに感染して、いわゆる「普通の風邪」を引き起こす代表的なウイルスです。風邪の原因ウイルスの約3割から5割は、このライノウイルスだといわれています。
ライノウイルスには100種類以上の異なる「型(セロタイプ)」が存在します。
そのため、一度感染して免疫ができても、別の型に感染してしまい、「何度も風邪を繰り返してしまう」という厄介なウイルスでもあります。
また、ライノウイルスは年間を通じて感染する可能性がありますが、温帯地域では春や秋に感染が増える傾向があります。夏の終わりから秋にかけては、体調の変化にも注意したい時期です。
ライノウイルスの症状・潜伏期間

ライノウイルスの典型的な症状は、鼻水や鼻づまり、のどの痛みなどです。体全体がだるく感じるなど、倦怠感が出ることもあります。発熱しない場合もありますが、発熱しても軽度であることが多く、「熱はないのにしんどい」と感じることがあります。
潜伏期間は一般に1~4日程度で、感染後2日前後で症状が現れることが多いとされています。
多くは1週間以内に軽快しますが、咳や鼻の症状が長引くこともあります。まれに気管支炎や肺炎などにつながることもあります。特に、喘息などの呼吸器疾患がある方や免疫機能が低下している方は注意が必要です。
ライノウイルス感染の感染経路

ライノウイルスは、主に飛沫や接触などを介して感染します。
ライノウイルスの感染経路①:飛沫感染
感染者のくしゃみや咳などによって飛び散った飛沫を吸い込むことで感染することがあります。
ライノウイルスの感染経路②:接触感染
感染者がウイルスのついた手で触れたドアノブやタオルなどを介して感染します。
人が多く集まる場所や集団での生活は、感染のリスクが高いといえます。
感染が増える時期には、特に感染対策を意識しましょう。
ライノウイルス感染の予防法

ライノウイルスは型が多いこともあり効果的なワクチンや予防薬はありません。そのため、日頃からの予防と、自身の免疫力を高めることが重要になります。
ライノウイルスの感染予防①:流水と石けんによるこまめな手洗い
丁寧な手洗いは、接触感染を防ぐために大切です。石けんと流水で手を洗うのが基本ですが、外出先などで手洗いができない場合は、アルコール濃度60%以上の手指消毒剤を利用する方法もあります。
ライノウイルスの感染予防②:定期的に部屋を換気する
夏の終わりから秋にかけても、冷房や気温の変化で窓を閉め切ることがあります。室内の空気がこもらないよう、定期的に換気して空気を入れ替えましょう。
ライノウイルスの感染予防③:十分な睡眠とバランスのよい食事
ライノウイルスには、現時点で特異的なワクチンや抗ウイルス薬はありません。そのため、日頃からの感染対策と、体調を崩したときの適切な休養・ケアが大切です。
季節の変わり目は、1日の中で寒暖差が大きく、自律神経が乱れて免疫力が低下しやすくなります。夜更かしを避け、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
市販薬を使うときの注意点
鼻水、のどの痛み、咳などのつらい症状のときには、市販薬を使って症状を和らげる方法もあります。
ただし、風邪薬には眠気が出る成分などが含まれるものがあり、持病や服用中の薬によっては注意が必要です。高血圧症、緑内障、前立腺肥大などの持病がある方、妊娠中・授乳中の方、小さなお子さまに使用する場合は、商品ごとの注意事項を確認し、自己判断で選ばず薬剤師などに相談すると安心です。
また、風邪の症状に見えても、花粉症やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、気管支炎などが関係している場合もあります。市販薬を数日使用しても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。
ライノウイルスに注意して、季節の変わり目を元気に過ごそう
ライノウイルスは、主に鼻やのどなどの上気道に症状が出やすい、風邪の原因となるウイルスの1つです。多くの場合は休養や水分補給、症状に合わせたケアで回復に向かいます。
一方で、鼻水や咳、のどの違和感があるときに無理をすると、症状が長引いたり、周囲へ感染を広げてしまったりすることがあります。「熱がないから大丈夫」と考えすぎず、体調の変化に早めに気づくことが大切です。
日頃から、流水と石けんによる手洗い、咳エチケット、室内の換気、十分な睡眠、バランスのよい食事を意識し、季節の変わり目を元気に過ごせるように備えていきましょう。
また、風邪のような症状でも、花粉症やアレルギー性鼻炎と区別しにくいことがあります。市販薬を選ぶ際には、風邪薬と鼻炎薬で成分が重なる場合や、服用中のお薬・持病によって注意が必要な場合もあります。
症状が続くとき、受診した方がよいか迷うとき、市販薬の選び方に不安があるときは、健栄の薬局へご相談ください。薬剤師が症状やお薬の使用状況を確認しながら、季節の変わり目を元気に過ごせるようお手伝いします。
<参考文献>
「ライノウイルスとは?大人の症状・潜伏期間・感染経路と回復の目安」(食環境衛生研究所)
https://www.shokukanken.com/colum/colum-21001
ひまわり薬局 戸頭店
薬剤師